欅のみえる家から

中田明子(なかた あきこ)のブログ。心に響く短歌の備忘録。塔短歌会。

2017-02-01から1ヶ月間の記事一覧

塔2月号作品1より

ゆうぐれは機内にも来てたのしんだ?と友に聞かれるような寂しさ /朝井さとる「塔」2017年2月号 「たのしんだ?と友に聞かれるような寂しさ」が印象的。たのしんだ?とあらためて聞かれ、ああどうだったのだろう自分は、と振りかえるときのうっすらとした不…

三井修歌集『汽水域』

先日、カルチャーの仲間による『汽水域』出版のお祝い会がありました。 以下は、その際に10首選をしてお話しさせていただいた内容です。 ◆若かりし頃を回顧する 井戸はまだとどめているや覗きたるまだ少年の我の素顔を(119) 若き日にヨルダン川にもとめた…

塔1月号作品1より

赤色の物が机上に増えていく今年の秋は歩いてばかりで /白水麻衣「塔」2017年1月号 赤色の物...たとえば色づいた葉や木の実、あるいは...。 行く先々で手に入れたものが机の上に並べられているのだろう。歌の雰囲気はどこかさびしげで、あてどなく歩く日も…

塔1月号月集より

しなくてもいい結婚をして人は濡れてゆく草夜半の雨に /澤村斉美「塔」2017年1月号 人生にはいくつも分かれ道があって、その都度ひとつの道を選びとっていく。そうして選んだ道はけして楽しいことばかりではない。けれど酸いも甘いもすべてを引き受けて人は…