2016-11-25 〈こゑ〉 一首鑑賞 横山未来子 こゑはその喉ふるはする息の音みつみつとわが冬を湿らす/横山未来子『水をひらく手』 その声の持ち主は心寄せる人だろう。声はその人の息、その人の命そのもの。声の温もりが、そしてその人の存在そのものが、まるで雪に息を吹きかければとけて滴になるように、わたしの冬を湿らせる。「みつみつと」という表現に恋をする若い女性の心の高ぶり、心の充実を思う。 歌集に〈こゑ〉というモチーフはたびたび登場する。作者にとって他者の存在を確かめるための、実感するための、とても大切な要素であるようだ。