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欅のみえる家から

中田明子(なかた あきこ)のブログ。心に響く短歌の備忘録。塔短歌会。〈西窓の欅の右へと日没の場所の移りて春が近づく〉

〈指ししめす〉

一首鑑賞 横山未来子

球根をうめたる場所を指ししめすやうにはじめてこころ伝つ
/横山未来子『樹下のひとりの眠りのために』

歌集を読んでまず目をひくのは比喩をつかう歌の多さとその美しさだ。
この歌もそのうちのひとつ。これは心寄せる人にはじめてその想いを伝える場面であろう。
そのときのこころの有り様を「球根をうめたる場所を指ししめすやうに」という。球根をうめた場所は外からは見えないものであり、自分のみ知る場所である。そして球根はこれから芽を出し若葉となり、やがて花を咲かせる、そんなきらきらとした未来を想像させる。
そのような明るさに相手を想いながら、その球根のありかをそっとその人にだけ教えるように、自らの想いを伝えるのだ。
初々しく生き生きとした作者の姿が目に浮かぶ。