欅のみえる家から

中田明子(なかた あきこ)のブログ。心に響く短歌の備忘録。塔短歌会。〈西窓の欅の右へと日没の場所の移りて春が近づく〉

塔5月号作品一首評より

いつまでをここにとどまるわたしだろう風が芒を逆立てて、秋

/中田明子「塔」2017年3月号 

 秋が深まると芒の穂は逆立てたように膨らみ、いっそう白くなる。いつの間にか春も、そして夏も通り過ぎて、今はもう秋。風が冷たい。それなのに私はまだこんなところに留まっている。こんなことをしていていいのだろうか。ふとした焦りが胸うちをよぎる。

もっと素晴らしい世界への憧れ、そして不安を、ひらがなだけでうたった上句と、一転して風景に心象を託す下句に詠いあげて若々しい。短歌が短詩と言われる所以をこの一首に読みとった。

(評:林都紀恵さん)

 

ありがとうございました。