塔9月号作品一首評に
塔9月号作品一首評にとりあげていただきました。
眸のふちにひかり溜めこみ姪三歳 望むと否とにかかわらず、姉(眸:め)
/中田明子「塔」2016年7月号
この一首の不思議な雰囲気は、一字分のスペースを挟んで、上句と下句の対照的な言葉遣いからきている。上句は眸(め)、溜めの「め」、姪の「め」が続いて流れるような調べであり、下句は大人の論理のフレーズ+姉の一文字で歌が完結する。
眸よりあふれそうな涙をかろうじてこらえ立っている小さなお嬢さん、そう、あなたはお姉さんという存在になったの。あなたの意志に関係なく、自然の法則なの。
末尾に目立つ姉という一文字のなかに女(め)が浮かび上がってきた。
(評・林広樹さん)
ありがとうございました。