欅のみえる家から

中田明子(なかた あきこ)のブログ。心に響く短歌の備忘録。塔短歌会。〈西窓の欅の右へと日没の場所の移りて春が近づく〉

葛原妙子

葛原妙子歌集『葡萄木立』

このところ葛原妙子歌集『葡萄木立』を読んでいました。次第に葛原妙子の世界に夢中になっていくのを感じながら読みました。(旧字は代用しています) ◆二つのものの生の相似を掴む比喩 あゆみきて戸口に鈍き海見えし猫は月光のやうにとどまる 飲食ののちに…

葛原妙子歌集『葡萄木立』より

水中より一尾の魚跳ねいでてたちまち水のおもて合はさりき 水面にぐぐっと接近した、的確にして無駄のない景の把握。そしてそれにより、魚が跳ねた、というだけにとどまらない雰囲気が醸しだされる。 「この歌は、ことばが発見する景の新鮮さという点におい…

葛原妙子歌集『原牛』より

あやまちて切りしロザリオ轉がりし玉のひとつひとつ皆薔薇 ロザリオの糸が切れて手元から転がっていくいくつもの珠が、薔薇の花へと姿を変える、そのさまが美しく目に浮かぶ。ロザリオは聖母マリアへの祈りの場面で身につけるものであり、薔薇は聖母マリアの…